混沌ってなに?

先ずよく言われているADHDの人は頭の中は整理整頓ができずいつも混沌とした状態という事だといわれる事にについて。
最初にこの事を知った時に何が混沌としているのか?何で混沌としているのか?この辺がピンとこなかった。非ADHDの人も頭の中が皆いつもキチンと整理できているわけではない。ADHDの人じゃなくても頭の中が混沌としている人はいっぱいいるだろう。しかし非ADHDの人とADHDの人の頭の中が混沌とした状態というのは同じではなく、ADHDの人独特の混沌とした状態があり、この辺の事が娘を17年間見てきてわかってきた事だ。

先ず自分自身の事を説明する方が簡単なので先に非ADHDの人が混沌としているという状態の一例を挙げる。例えば思い悩んでいたり、色々とやる事が多すぎて手が回らない状態のときに頭の中が混沌とする。
こういった場合、ある程度成長し経験を積んだ人であれば、今やらなければいけない事、今やらなくてもいい事、かなり後回しにして良い事、ある程度の事は事前に処理した方が良い事などを自分の経験や価値観の中で取捨選択し優先順位を決めている。時には諦める事も選択しながら行動する。
この決めるまでの過程や決めて動き出すまでが混沌した状態といえるだろう。
また、先々までやる事が沢山詰まっているのに途中でやる事が増えてしまった場合など人は忙しいと感じ混沌としてしまう。他にも精神的に追い詰められて気持ちが焦り、やる事が多過ぎて頭の中が整理ができず軽度のパニック状態に陥った時も混沌とした状態だといって良いと思う。こんな感じで非ADHDの人もしょっちゅう混沌としているのだ。それを自分なりに区切りを設けたり、誰かに相談する等の様々な手段を使い最終的に優先してやるべき事を決め、ゴールや期限に向かって逆算していつ、どこで何から、どうやって始めれば良いのかを自分の技量やスピードと照らし合わせ自然と考え行動する事が身にいている。

ADHDの人の場合は上記とは違う混沌とした状態である。極端なことを言えば忙しくなくても常に頭の仲が混沌としているのだ。
ADHDの人は非ADHDの人と決定的に違っている事がいくつかある。
一つは時間だ。時間の感じ方や捕らえ方が違う。具体的な時間を感覚的に掴む事ができない。
例えばあと1時間で部屋を掃除しなさいとか言われた場合、大抵の場合1時間では終わらない。放っておけば何も手をつけていないか、全く違う事をやっている。少なくとも掃除道具場所や使い方等知識はあるが上手くできないのだ。

つまり、1時間がどの位の長さなのか、その時間内で何ができるのかがわからない。部屋の汚れ具合とその時間で可能な掃除の方法、仕上げの程度などが決められない。急がなければ終わらないのか、ゆっくり終わらせられるのかもわからない。つまり自分なりのゴールや期限を決める事ができない。どんなに小さな事や些細な事であっても最初にゴールや期限を決められないのだ。だから逆算ができずスケジュールが組み立てられない。これはADHDの人は計画性が無いと言われる事にもつながっている。
こういった一つ一つの時間が全く読めない中で生活する彼らにとって時間の感覚を掴むという事は至難の業と言っても過言ではない。